2008年12月14日日曜日

ER-4Sを偲ぶ(?)

一時HeadRoomのサイトに、Etymotic Research製イヤホンER-4Sの生産が終了したと知らせる、こんな記述が出ていました。

SOLD-OUT! This Etymotic ER-4S model has been officially discontinued by the manufacturer effective Nov.1 2008. The identical ER-4P (portable) edition does not need any dedicated amplification and remains available in-stock!


今はその記述も消えているようなので、事情がちょっと分からないですけれど、生産終了という事実はなかったということなのでしょうかね。あいかわらず在庫は切れたままのようですから、単にEtymotic Researchが一時的に流通調整をしているのでは、という気もします。

しかし、最初に生産終了の文字をみたときには、愛用しているヘッドホンのHD580もそうですし、もう1つ持っているヘッドホンのK271もそうですが、ER-4Sも現行品ではなくなってしまうのかと思い、少し悲しい気持ちになりました。

それは感傷的な意味だけでなく、生産の終了は保守部品が払底する可能性(あくまでも可能性だけ)もはらんでいますので、実利的にも悲しいことです。幸い、HD580を手がけるSennheiserは、旧機種の部品在庫が豊富ですし、K271は頑丈この上なく不具合の出るそぶりすらありません。そしてER-4Sも、ケーブル以外はER-4Pと同じで、ER-4Pに抵抗を付加すれば全く同じものになるので、ER-4Pが存在し続ければ保守部品払底の恐れはないんですけどね。

まあ感傷がてら振り返ってみると、ER-4Sが登場したのは1991年だそうで、それまで特定用途向けのイヤホンしか手がけていなかったEtymotic Researchが、汎用性を備えた製品を目指したのがER-4BとER-4Sだったとか。

ER-4Pの発売は、それから8年後の1999年でしたか、それくらいの記憶があります。より汎用性を高めるという意味で、すでに当時からER-4Sの後継機だったと言えないこともないのでしょうね。

そんなER-4Sを偲び(?)、普段はこの季節に使わないのですが、引っ張り出してちょっと使っています。せっかくなので、イヤーチップもフランジではなくフォームチップと贅沢してみました。久しぶりにフォームを使ってみて実感するのは、遮音性、音のバランス、タッチノイズ耐性、いずれもはるかにフォームチップが勝っていることですね。これでチップの耐久性さえあれば。そこだけが残念です。

外で使うHD580を、環境音と融け合う音の気持ちよさとするなら、ER-4Sは隔絶する気持ちよさと言えるでしょうか。特にフォームチップを使うと、HD580では気持ちよくない騒音の中でさえも音楽以外何も聞こえず、次第に目に映る現実から乖離していくような、そんなトリップ感が心地よいというか危ないというか。あれです。アイソレーションタンク(懐かしい!)に入ったときの感覚を喪失した感じに似ていますね。

とはいえ個人的な見解ですが、散歩したり公園で座って音楽を聴くには、やはりヘッドホンの方が気持ちいいのは変わりません。基本的にイヤホンが苦手というのもあるのでしょうけれど。ER-4S生産終了気分を十分堪能した後は、また暖かい季節が訪れ、ヘッドホンでは暑苦しくて我慢できなくなるまで、しばらく休んでもらうことにしましょう。

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